考えさせてくれと言ったEricであったが、次の場面ではHenryの家に友人たちを集めるまでになっている。友人たち全員ゲイ。。。投資家のHenryは共和党員で、LGBTに批判的なのにと攻撃され、米大統領で最初にAIDS対策を打ち出したのはブッシュだ反論する。自分の関心は自分の家族と友人だけだと 言い切るHenryに対し、どういう国にいるかが重要だと。絵を買ってやるが二度と見ないと約束すると言い捨てて去るHenry。やたら攻撃していた眼鏡の男Jasper?は、Ericにも怒られて絶交される。友人たちは二人の結婚に賛成していない。
舞台の中央部分がせり上がっているのを机にみたて、Henryがパソコンで仕事をしている。Ericが結婚を承諾し、早速一緒に寝ようと言うが、体には触れないと宣言するHenryに、Ericはひどく動揺する。祖母の家具を持ち込みたいといっても、二階に置いておけと冷たく言われる。
Ericが昔の恋人Toby(Andrew Burnap)と会う。しばらくぶりで、結婚を報告するが、またすれ違う。
場面かわって、劇作家Tobyのアパートに汚らしい19歳の少年Leo(Samuel H Levine)が訪ねてくる。シャワーを貸してくれ、服を洗濯させてくれという少年を買うToby。
TobyはLeoと本屋に行き、昔もっててなくした本を集める。イギリスの名作、名作家が連呼される。本など読んだことになかったLeoだが、Tobyのおかげで一気に見識を得ることになる。ジュリアス・シーザーは見たことがあるか、台詞が分からなくても楽しめる、とは先のBen Whishawの芝居のことか。が、上客からSMSがきて、Leoはいそいそと出かけてしまう。遊びだったのにがっかりするToby。
回想。Tobyの戯曲Loved Boyがブロードウェイで上演されるのだが、主役の俳優Adamの書き直し提案をつっぱねて、逆に自分が出禁をくらう。
TobyはLeoとビーチに行く。背景は夕焼け。舞台の中央部分が下がってプールに見立てられているのが素晴らしい。Tobyの携帯には結婚式に出席してほしいとEricからの留守電が連呼されるが、すべて消去。
夜になり、Leoが他の男たちに弄ばれるのを見て楽しむ。背後が青色になり、シルエットの中、男達が服を脱ぎ捨て、水着一丁になって踊るのが壮観。。。Leoは本当は嫌だったが、Tobyを傷つけたくなくて言えなかった。TobyはLeoをブロードウェイの初演に連れていくことにする。
水着のTobyが一気にタキシードを着せられる。初演の成功を祝って人々が駆けつける中、Leoは逃げ出してしまう。舞台の脇でEricも観劇していた。
結婚式当日。新しい靴をはいて単純に喜ぶEric。親友のTristan?と抱擁していたところに、Henryが邪魔したかとやってくる。再び背後の扉が開き、真っ赤に紅葉した木が現れる。HenryとEricはその背後で結婚する。
客席からTobyと天使の羽根をつけたLeoがやってきて、結婚式を荒らす。もっと驚いたのは、Leoの上客がHenryだったこと。
場面かわってHenryの家。男を買っていたのかと問い詰めるEricに、昔愛した男Walterがいて、別れて家を与えたことを告げる。
10分休憩。まだ1時間15分しか経ってない!すごい濃密。
どこかの家に別の初老の男Morgan?(Paul Hilton)がやってきて、1912年にいたゲイの公爵の話をする。若かりし自分もその気があることには気づいていたが経験がなく、公爵に尻を触られて電流が走ったとか。
Ericは30代になっている。Henryは仕事にかかりきり。Ericは慈善事業がしたいと言うが、却下される。
Tobyは突然、Leoに別れを告げていなくなった。Leoは具合が悪くなり病院に行くと、11月の血液検査でAIDSに感染していた、再検査するよう電話したのに来なかったと言われ、ショックを受ける。ここ数ヶ月の経験人数は50人。医者には催促の電話が二度もあり、その隙にLeoは病院を出る。
Tobyは別の町のホテルに辿り着いていた。自分語り。幼い頃から容姿が綺麗で、7歳の時に両親が亡くなり、祖母に育てられた。そこで初めて教会に連れていかれ、祈り懺悔することを学んだ。ホテルの部屋で初めて光が見えたと叫ぶ。
5分休憩。あと一時間!
冬、Ericが親友と「くるみ割人形」のバレエを見に行く。親友は、トランプ政権になったので、ゲイで黒人でAIDS陽性の自分はカナダに行くしかないと。
冬、Tobyのアパートに探しに来たLeoが、同じく探しに来たEricと遭遇する。Ericが管理人に金を渡し、Tobyの荷物を持ち帰る。Leoはダウンジャケットをもらった。
Leoの一人語り。母の恋人とゲイ関係になってしまい、二人とも追い出された。家がなくて体を売った。一番多く寝たのはTobyだった。身を投げようと橋に行くと、Adamに出会う。倒れてしまい、誰か知り合いはいるかと聞かれ、Ericの名をあげる。AdamもEricはいい奴だと言っている。ここの一人二役の芝居が秀逸だった。
Tobyは新作戯曲を売り込みに来たが、助手に誤字のリストを渡され、プロデューサーには冗談かと思った、お前の傑作はLoved Boyだと言われる。あれは本当に自分じゃない、本当の自分はこの新作だと言うが、お前はおかしいと追い返される。
Tobyは新作を700人もの古い知り合いに送りつける。Ericも含まれていた。お前どうしてたんだと500通もの返信がきて、パソコンを床に投げつける。
EricはLeoを自宅の二階に寝かせていた。ドバイ出張から戻ったHenryは追い出せと言い、嫌だと言うと、お前も出て行けと!あちゃー。
春、二人はWalterの家にいた。Ericが花を摘みに行く間、Leoが近所のMargaret(Vanessa Redgrave)と出会う。背後に二階建ての家のミニチュア。戻ったEricをみて、おそらくWalterに似ていることに驚いたMargaret。
二週間後、Margaretが二人を近くの墓に連れていき、身の上話をする。息子?のMikeがゲイだと言うので追い出した、ずっと音沙汰がなかったが、死に間際に連絡がきて、手を数時間つないで、Mikeは亡くなった。その後、ここで死にかけのゲイの面倒を見るようになり、200人のゲイを埋葬した。。。と、ティッシュで鼻を咬みながら。
夜、大量のアルコールを抱えたTobyがWalterの家にやってくる。Ericと再会して気まずそうにしていたところ、Leoがやってきてグラスのコップを投げつける。彼にAIDSをうつされた思ったのだろう。飛び散った氷?を淡々とモップで片付けるEricはいい奴だ。
深夜、Tobyは屋根裏で自分の荷物を見つける。その中には7歳の美しい少年時代の自分が写っていた。本当に金髪の少年が出てきて、Tobyの足を蹴ったりして横にちょこんと座る演出が秀逸。今の自分に耐えられなくなり、ノートに「I can't」と書き残して家を出る。
車に乗り、スピードをあげ、壁に衝突して亡くなったことを、Ericらが聞かされる。
Tobyの葬式。Henryもドバイから駆けつける。Ericに愛している、見捨てないでくれと懇願するが、今別れないと別れられないと言われて終わった。えー。
後日談。9人の若い男たちが横一列に並ぶ。Leoは奇跡的に回復し、新しい恋人もできて、小説を書き上げた。作者はTobyだと思って見てたけど、Leoなのか!小説にTobyは実名で出したが、Henryの名前は変えたと。こっそり結末を読むHenry。
空想で、同年代のWalterがやってきてキスをする。冒頭のもう一組のカップルは若い頃の二人だった。WalterはLeoのおでこにもキスをして、背景の真っ赤な木の向こうに消えていった。最後は二人が結婚したのと同じ秋だった。。。
E. M. Forsterの「Howards End」に影響を受けたというMatthew Lopezの戯曲を映画監督でもあるStephen Daldryが演出。2部作で3時間ずつあるらしい。第2部だけでもうお腹いっぱい。第1部はEricとTobyの物語なのかな?
この作品でこれ以上の演出はないだろいうというくらい演出は素晴らしかった。中央部分が上下するだけのシンプルな舞台、時折、鮮やかな色彩の背景がアクセントになっている。役者陣もみな素晴らしい。総立ちのスタンディングオベーションだった。
私は立たなかったけど。。。物語に共感できなかった。。。ゲイ作家とゲイ演出とゲイ役者によるゲイのためのゲイ作品。ノンゲイは含まれていない。観客が物語のどこに感動しているのかいまいちわからなかった。
女子としては、価値観が違ってトラウマもあるHenryと幸せになってほしかったような。二人の別れを決定づけたHenryの言動もありきたりで、それなら悲劇になっても仕方ないとは思えなかった。それでも受け入れようとして、傷つけあって、でもやっぱり無理とか、ゲイの世界にはないのかな。いやEricはずいぶん我慢してたけど。。。えぐりが足りない!