何度もみた演目なのだが、同じ演出で見るのも三回目なのだが、やっぱり大好き Christof Loy 演出。
出だしのオケはかなり微妙だったが、舞台の中央下手寄りにぽつんと置かれた車からジプシーたちがぞろぞろ出てくる小ネタに一気にもっていかれる。まず6人が出てきて伸びをして、そりゃこんな小さい車に6人も乗ってたら狭かろうと思っていると、その後もぞろぞろ出てくる出てくる・・・
テーブルと椅子を並べてビール飲んだり、みんなやりたい放題。アルバザールは老人ではなくシェフ設定で、簡易コンロに野菜をつっこみ、引火してみんなで火を消したり。このやりたい放題感に涙が出てくるのは何故。
舞台を横切るワイヤーにのって電球が一つ運ばれてくる。この電球一つで、その下にテーブルと椅子が置かれればそこは詩人の書斎。後ろのジプシーと隔てる壁はないのに違和感はない。この電球の法則により、物語に関係のない詩人が邪魔にならない。
小太りの爺がジプシーに手相を見てもらいにやってくる。声はあまり聞こえないが、Alessandro Corbelli、6度も見てるベテランだ。「連隊」の時の方が声はよかったような。アムスでのMelitoneもだった。
ザイーダもすごく小柄だが声がでてていい。お腹だして踊ってるし。無名だが要チェック。
ショッキングピンクのフィオリッラの衣装もいい。彼女を追いかけてズボンのチャックを上げながらでてきたヒゲ男。ナルチーゾの声がきこえているが、この群衆のどこにいるのだと双眼鏡で探してしまった。て、ヒゲ男じゃん。テノールの風貌じゃないよ〜。カツラらしい。これも無名だがいい。
海岸にトルコ人が到着ときいて、舞台係(とフィオリッラ)が水色の紗幕を運んできてそれを広げ、ビキニ姿のおねーさんも数人、海だなあ、と思っていると、トルコ人は空飛ぶ絨毯でやってきた!ビキニに目を奪われたのもつかの間、フィオリッラに目を止める。
Ildebrando D'Arcangelo、4度目にして良さがわかってきたョ。イケメンだが濃い見た目が好みではなかったのだが。渋めの声が綺麗な声のソプラノとの相性がいい! フィオリッラがトルコ人と夫ジェローニオ(ジプシーに手相をみてもらいに来てた)に歌に合わせて両手をひかれて困った。ジェローニオはヒゲ男ことナルチーゾに相談するがそれも不倫相手だし。
下手から白い壁がゆっくり出てきて、フィオリッラの家になる。壁についた扉を開けるとやたら細かいコーヒーセットが出てくる。Segafredoのコーヒー缶もあるよー。上手、壁の外ではトルコ人の執事、黒いスーツにサングラスの男が見張りをしている。やってきたジェローニオに銃を突きつける。
トルコ人が帰った後。風呂上がりのフィオリッラがタオルで髪をふきながら出てきて、カーラーを巻きながら口論をして、夫がカーラーをとってあげると痛そうにしかめっ面をする。
詩人の計らいでトルコ人がジプシー女ザイーダと再会。二人で車に入るとめっちゃ揺れてるし、、、その周りで他にも男女が数組。。。
フィオリッラがやってきたので、ナルチーゾがバラの花を渡そうと待っていると、他にもスーツ姿の男達が大量に現れバラの花を一輪ずつ渡していくので、舞台端でふてくされてバラを投げ捨て。
車から出てきたトルコ人はフィオリッラに会うと若干気まずい感じ。女二人に歌に合わせて両手を引かれて、って前半のデジャブ。
休憩のち2幕。下手端のテーブルでトルコ人とジェローニオがパスタを鬼食いしている。執事が鞄を開けるとボクシングのグローブが入っており、ジェローニオにも詩人がグローブを運んできて、バトル!何度みても楽しい。
衣装が大量にかかったレールが天井から降りてきて、ナルチーゾが盗み聞きアリアする中、トルコ計画が決まる。同じトルコ衣装をきた夫が不倫相手から妻を奪還するというロッシーニ定番。で、ザイーダがトルコ人を連れていき、フィオリッラを連れて逃げたのはナルチーゾでしたとさ。
ヒゲテノール、ソフトボイスでなかなか言い声してる。アリアもかなり歌えてた。難しいアリアなんで、高音のとこがちょっとぎりぎりだったが。強い声で上から攻めてくる方が私は好きだけど。
トルコ人には逃げられ、夫にも離婚を言い渡されたフィオリッラ。家の白い壁を開けると巨大な靴箱が現れて、色とりどりの靴がガラガラ〜・・・ああ、失う物は大きいのね。合唱と本物の大道具さんたちが横からみていて、毛皮のコートとアクセサリーを脱ぎ捨てると淡々と回収してくれる。ああ、本当に失ってしまうのね。
でもそれは詩人の入れ知恵で、最後はザイーダとトルコ人が下手の部屋でトルコ絨毯に座り、フィオリッラと夫は上手の部屋のソファーに座り、その二つの部屋の間でナルチーゾがチャリで友情のピンクのバラの花束を渡しにきて、その後ろでアルバザールが大道具さんたちに手料理をふるまっているという、完璧な大団円!
出待ち。ヒゲ男はヒゲあるが単髪でその方がテノールに見えなくもない。メゾもカツラだったので、誰にも気づかれずに帰ってしまった。Olgaちゃん狙いだが、待ってる間にD'Arcangeloもゲット。すごいいい歌手揃えたと思うけど、チケット売り切れてなかったし、出待ちも少なかったなあ。
Olgaちゃんは最初から丁寧に声だして歌ってて、そういうところが大好きなのだ。ただ肝心の最後のアリアは、絶望と反省入り交じってよかったけど、終盤にちょーっと声がもたなかった。とばしすぎたかな?初回より今回の方がよかったらしいので、次回の最終回はきっと完璧にやってくれるだろう。見たいよう。