2017.6.19: Donizetti "L'elisir d'amore"

Laurent Pelly の最高傑作(のひとつ、puritaniもよかった)に、初演と同じAlagna&Kurzakの日を選択。二人はこの演目で出会った。が、直前に風邪でKurzakが降板。。。開演が遅れて劇場の担当者が出てきてそれを伝える。

藁のピラミッドに横たわるソプラノはKurzakに比べると華がないが、歌は悪くない。その後、でてきたAlagnagが・・・声が全然出てねえ!!!前回も出てなかったけど、さらにひどい。これじゃ2幕の「Una furtiva lagrima」はどうなるんだ・・・

1幕1場が終って幕があがると、さっきの劇場係がまた出てきた。「Alagnaも風邪が移ってて降板です、が、代わりのテノール用意してました、本劇場デビューです」あーあ、やっぱり。

枯れ草の草原が広がることろに、けったいな車でインチキ白衣のドゥルカマーラがやってくる。デブが定番だが、ヤクザっぽい細身のハゲで、これはこれでいい。声も演技もいいが、歌が微妙に遅れている?ここは超絶早口で決めてくれないとなあ。村人たちに掃除洗剤みたいなのを売りまくる。

一人残ったネモくんが、ワインを惚れ薬と信じて購入、下手の梯子に昇ってうかれて歌う。おお、よい声ではないか!

アディーナが女友達二人とやってきて、いつもと違って自信満々なネモくんにむかつき、軍曹ベルコーレと結婚するわ!女友達はそれぞれ彼氏の自転車に乗って去り、遠景にドゥルカマーラの車が走り去り、誰もいなくなった広場を小さな犬が一匹かけぬける、ここも秀逸だ。

休憩のち2幕。中央の平たい木の舞台がアディーナと軍曹の結婚式会場。舞台の下で隠れてみていたネモくんが困っていると、真っ赤なスーツのドゥルカマーラがやってくる。惚れ薬をもう一本くれと頼むが、金がない。軍曹がやってきて、軍隊に入れば金が入るというので、速攻でサインし、ドゥルカマーラから惚れ薬を受け取る。

みなが去った後、女たちがわらわらやってきて噂話。ネモくんの叔父さんが亡くなって大金持ちになるのよ!そこへやってきたネモくんは、もてもてなので、惚れ薬がきいたと勘違い。舞台の上で女たちと踊りまくる。

それでまた腹を立てたアディーナだったが、ドゥルカマーラからネモリーノが惚れ薬を買うために軍隊に入ることをきき(この重唱もいい)、あわててネモリーノを問いただす。

ここで名アリア「Una furtiva lagrima」、高音もスコーンと伸びてなかなかの出来!ロンドンにしてはすごく長い拍手だった。

アディーナは軍曹から契約書を買い戻して渡すのだが、ネモくんは愛してくれないなら入隊して死ぬモン、愛してるってば!ドゥルカマーラがオレの薬きくだろと歌って大団円。ほんとにいいオペラだ。

若いテノールにひっぱられれ、若いソプラノもどんどんよくなった。カーテンコールでは思わず立ってしまった。周りはあまり立ってなかったけど。ぶっつけ本番で、ここまで物語をつむげたのは奇跡的。有名歌手の降板はがっかりだけど、こういうことがあると悪いことばかりではない。

その勢いで出待ちして、二人の代役告知の紙切れにサインをゲット。有名になったらいい記念になるよ〜。出待ちの数は少なかったけど、ロンドンにしては長い拍手だったとか、オペラ通が狂喜していた。

STAFF & CAST


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