明るい色の木の板で囲われた何もない広い部屋。背後に襖をモチーフにしたような扉がある。部屋は一段高くなっていて、周囲が白く川のように囲っている。上手に橋のような板が渡してあり、隣の部屋に続く。他にセットはなく、机などが持ち込まれるだけ。舞台と同様、衣装も和風をモチーフにしているが、和装そのものではないので、着崩しても悪くない。
軍服のピンカートンが、黒い袴の男ゴローと話し、スーツ姿の総領事シャープレスと、アメリカに帰ったら別の女と結婚するさ〜、なんて最初っから言ってるんだよな。
花嫁衣装の蝶々夫人と、召使いのスズキや家来たちが三人やってくる。他にも和装で傘もった芸者たちがわらわら出てきて舞う。叔父の僧侶が怒ってきて、解散となる。
他に誰もいない舞台中央でピンカートンが蝶々夫人を静かに押し倒す。
1幕は退屈だ。休憩のち2幕。
下手で蝶々夫人が泣き伏し、スズキは上手で小さな机に向かっている。ピンカートンから三年音沙汰なく、金もない。
シャープレスがピンカートンからの手紙もってくる。人力車にのって侍の正装で白塗りのヤマドリが求婚にやってくるが、蝶々夫人は全く受け付けない。
ヤマドリが帰った後、シャープレスが手紙を朗読。いちいち合いの手を入れる蝶々夫人がイタイ。手紙は、蝶々夫人はもう自分のことは忘れただろうかなどとすごい温度差。蝶々夫人は怒り、隣室から子供を連れてきて見せつける。
シャープレスが帰った後、軍艦が入港する音がきこえ、望遠鏡でマークを確認。スズキと部屋中に花びらを撒いて迎える準備をする。
が、朝になってもピンカートンは来ない。子供は蝶々夫人の傍らで寝ている。スズキが隣室で休めと言うがきかない。
シャープレスとピンカートンがきて、スズキが扉を開けると洋装の妻もいる。ピンカートンは蝶々夫人に息子はこちらで預かると。みなを帰した後、懐刀で自害!
ま、自業自得なんだけど。
ソプラノErmonela Jahoはロンドンによく出てるがいい評判きかないので倦厭してた。高音がかなり出てないが、主人公のイタさ、思い込みが激しく、執念深いのをよく表現できていた。スズキも主人思いの感じがよく出ていてよい。テノールも無名だが割と声がでていた。
ロンドンでは珍しく、舞台がよくて、それに助けられた感じ。シンプルだが物語を邪魔しない。2幕は音楽がいいので、さすがに文句は言えない。