2017.2.7: Francesco Cilea "Adriana Lecouvreur"

久々のMcVicar、作り込んだいい舞台。奥に木の舞台があり、その前に小さく仕切られた楽屋、手前に衣装が並んでいる。楽屋には白い下着姿の女優とパトロンが二組なんか歌う。

舞台監督がでてきて、アドリアーナに告白したいが、明日にしよう、いや明日だともっと年を取っていると悩む。

舞台が回転すると(回転するんだ!)上手の楽屋が手前になり、カーテンを開けるとアドリアーナことAngela Gheorghiu登場。白いドレスに黒髪、髪飾りが光り、さすがのオーラ。でもやっぱり声が全然でてない。出だしは台詞なんだが、、、歌っても台詞?声が低く小さい、最後の張り上げるところしか聞こえない。

舞台監督が遺産が入ったので結婚しようと思ってると言うと、アドリアーナはいい考えだと答え、舞台監督がうかれたのもつかの間、自分の恋人のことを語り出す。

その恋人マウリツィオ(Brian Jagde初見)が登場、小太りでちょっと曇り気味だが声は悪くない。アドリアーナに小さなすみれの花束(みえない)をもらって席につく。

背後の舞台で役者が券をかざしているのがみえるが、下手からみるとアラブっぽい城と合わせて影絵になっているみたい。さすが凝ってる。

別の女優のパトロンであるブイヨン公爵が舞台監督に、なんか手紙(自分の愛人からマウリツィオ宛て)を見させると、11時に待ち合わせとあるので、同じ時間に同じ場所でパーティを催すことにする。手紙を受け取ったマウリツィオはアドリアーナとの予定をキャンセルし、アドリアーナはそのパーティに行くことにする。

2幕は愛人宅。なぜかある舞台で、黒いドレスの女優がなんか語らう。ブイヨン公爵夫人(Ksenia Dudnikova初見)であった。声量があって伸びるいい声!ようやくテンションあがってきた。

マウリツィオがきたので公爵夫人はさかんに愛を伝える。でもマウリツィオは政治目的らしい。これまたいい声でブラボーかかった。

黄色い幅広ドレス(丸くなく平たい)に着替えたアドリアーナたちがやってきて、マウリツィオが伯爵だったことがばれ、アドリアーナはショックを受ける。あれー・・・台詞?二人はキスを何度もしたのち、マウリツィオはなんか言って逃げ帰る。この二人のアリアは全然ハモってなかった。テノールくんは合わせて声量押さえているのか?

アドリアーナは蝋燭の灯りを一つ一つ消し(だんだん暗くなっていく照明がいい)、別室に隠れていた愛人を逃がそうとして、それがブイヨン公爵夫人で恋敵だとわかり、ショックを受ける。

戻ってきた舞台監督がアドリアーナの肩を抱いて慰めるとき、ブレスレットもってて、なんでた?落としたのか?と思ったが、公爵夫人が落としていったもので、舞台監督が拾ってアドリアーナに渡す。

休憩のち3幕。

また舞台。両袖に三幕のあるちゃんとした舞台。客席側に客席があり、黒いドレスの公爵夫人がやってきて、男にマウリツィオの恋人をさぐれと命令。人々が次々に登場。アドリアーナは舞台から、ピンクの幅広ドレスで。

ブイヨン公爵夫人が悪役らしく、マウリツィオが戦場で怪我したとか高らかに歌うと、アドリアーナは具合が悪くなる。そこへマウリツィオが元気にでてきて、みんなが武勇伝をききたがると、高らかに歌う。いい声だ。アドリアーナは復讐としてブレスレットをブイヨン公爵に渡す。

バレエが始まる。白い王子衣装の女っぽい男ダンサーが、赤いドレスの小さい女二人と踊り、背後の紗幕の向こうで数人が晩餐?やってると思ったら、別の男に金のリンゴ?を渡され踊り(男同士なのに抱えられて飛んだ)、その数人がでてきて踊り、その中の一人の女とピンクの紐で踊る。

そのあたりで客席の女二人のバトルが始まり、みんな舞台見てないのでバレエダンサーがふてくされ、白い王子は降りてきて金のリンゴを公爵夫人に渡すも他のおばちゃんに渡される。

公爵夫人に言われてアドリアーナが舞台にあがって台詞を朗読し、みなが讃える中、マウリツィオと並んで座るブイヨン公爵夫人に、ブイヨン公爵が浮気の証拠としてブレスレットを突きつけたところで幕!熱い!

小休止のち4幕!また木の舞台。というか、この装置はずっと舞台にあったのだ。向きを変え装飾を変えて 違う場面にしていた。素晴らしい。

舞台監督がアドリアーナを心配し、女中に何か買いにいかせる。アドリアーナがネグリジェできてソファに横たわる。ここは横たわって歌う演出だと思うが、それじゃ歌えないのかやらなかった。あの女は彼を盗んだのだから対価を払うべきだとか怨念ありあり。

友人らが誕生日を祝いにくる。舞台監督からのプレゼントはダイヤのネックレスであった。結婚は煙の中に消えたからと。

マウリツィオからも贈り物が届き、みなは退散。アドリアーナが開けるとすみれの花が入っていて、突き返されたと思って嘆き、燃やす。ここの慟哭はさすがにがんばってた、と思ったらブラボーかかった。そこまでではない。

その後はもう声が尽きたか、やってきたマウリツィオにも語り、二重唱もいまいち。愛を確かめあい、まさかハッピーエンドじゃないよな嫌だなあと思ってたら、すみれに毒があったのか、アドリアーナが狂って死んだ。テノールくん、声はいいけど棒立ちで演技はまだまだ。

音楽はよかった。Angela Gheorghiu引退おめでとう!カーテンコールはさすがのオーラだったが、声がでなさすぎ、もう辞めた方がいい。1992年のデビューから25年、1994年の椿姫初演のこととか、パンフに特集が組まれていた。

メゾは素晴らしく、テノールも及第点。なりより舞台演出の勝利。

STAFF & CAST


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