2016.6.4: George Enescu "Oedipe"

マイナーな新作だが、歌手がいいので、私的には今期の目玉扱い。パリとの共同演出なのでさらに期待も高まる。ジョルジェ・エネスク(1881-1955ルーマニア)の現代オペラ(1936)。

劇場に入ると、幕にびっしり、パピルスぽい感じの4段で、ギリシャ人の人々が描かれている。偉そうな人から下っ端の人。ベースは埴輪っぽいくすんだ赤で、上手上から少し光が差した感じの絵。

その幕があがると、全く同じ形の4段舞台に合唱団がずらり。キタキタキタキタ!久々に!

人形かと双眼鏡で確認するほど全く動かなかった人々が、次第に動き出す。中央の神官がテーベの王子の誕生を宣言。その上階に王と女王が横たわっている。下手からドライフラワーが配らされてみなで祝福。一番下は軍隊で、こわもての隊長がなんかいう。

神官が赤子を聖水につける。ってキリスト教ぽい。長い布で巻き巻きつつ渡され、女王の元に戻される。女王はSarah Connolly、さすがの貫禄で文句なし。

そんな祝いの空気を一気にぶちこわし、毒を撒き散らかす顔のでかい爺、盲目の僧が、王子は呪われていると。Sir John Tomlinson、さすがの迫力でものすごい説得力。王子は王を殺し、母と結婚すると予言。

母が伸ばす手をふりきって、王は王子を捨てる。羊飼いに託して。

合唱隊ががたがたと4段舞台を降りると、背後から黄色の照明が照らして、4段がすーっと背後に下がる。ぽっかりあいた中央の空間に四角く照明が落ち、2幕のコリントスの家になる。いい転換。

2幕。20年後。どっこい羊飼い、王子を助けて別の両親の元で育てていましたとさ。その名はオイデプス。でも予言のことを知り、現代服の両親をふりきって家を出るバリトンくん(Johan Reuter)。これもいい声してた(2回目)。

スモークが立ちこめる中、4段舞台にむかっていく。途中、工事現場があって道がわからない。うまい。4段に座った男がそれを見ている。

4段の中央下がぱかっと開いて高そうな車が登場。オイデプスは乗っていた男をあっさり殴り倒し、車に乗り込む。あれが実の父だったのだ。

テーベに着くと、中央にはでっかい戦闘機が落ちている。そこから出てきた老女がスフィンクスで(このメゾもいい、2回目)、謎解きをされて、返り討ちにするオイデプス。人々が解放され、黒いドレスの女王と抱き合う。これが実の母だった。

休憩のち3幕。さらに20年後。女王の弟クレオンが、ペスト蔓延は前王を殺した犯人を裁けばおさまるときいてくる。オイデプス王はクレオンと盲目の預言者を捕まえる。

コリントスから使者が来て、オイデプスに後を継いでくれと。それで自分が実の子でないこと、予言通りになってしまったことを知る。女王は自殺、オイデプスは両目をくりぬき、さらに弟に追放されるが、娘アンティゴネがつきそう(このソプラノはいまいち、なにげに5回目)。

4幕。汚い衣装の二人がテセウスの支配するアテネに辿り着く。クレオンがきて、アンティゴネを捕らえるが、テセウスたちが助ける。テセウスは白スーツだがキャラ薄い。でもオイデプス死んじゃった?

後半は疲れがでて集中できず、もったいないことをした。

だいぶチケット余ってたから残席ありありかと思いきや、ほぼ満員で若者が目立つ。割引販売したのかな?trovatoreも割引のお知らせきてたもんなあ。

STAFF & CAST


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