2015.8.27: Wagner "Lohengrin"

バイロイトのカフェにはいいネットがあるので、ぎりぎりまで仕事してて、開演5分前に席にいったら、割と真ん中の方で、みんなもう着席してて、ドイツ人のおばちゃんに「もっと早くに来なさい」と頼んでも使ってくれない英語でわざわざ言われた。開演1分前にはもう全員着席してて、時間になり、係員がガチャとドアに鍵をかけるのを待つ。遅れた人が絶対に入って来られないように。なんだかなあ。

白い舞台。白いシャツに黒いズボンのKlaus Florian Vogtが後ろの壁を押して舞台を広げる。

合唱団はネズミの着ぐるみ。肌色の手と足がグロい。水色の実験員が悪い子を連れて行く。

黒の紙でできたペラペラの王冠をかぶったドイツ王がやってきて歌う。

旗持ちの人も熱唱。韓国人で、明日のホレンダーも歌うらしい。

白っぽいコートに矢みたいの刺したElsaが、弟王をどうしたと攻められ、矢を自分でぬき苦悶しながら答える。

ローエングリンがきて、援助を申し出る。名前をきかないことを条件に。ネズミですんごいテンション下がってたが、天使のような少年の声が美しい!白鳥のついた小さな黒い船が運ばれてきたのは見なかったこよにしよう。

Telramundが決闘を挑むがあっさり負け、ローエングリンがとどめを刺そうとしたが、他の人々が制止する。

合唱団が着ぐるみをぬぎ、鮮やかな黄色のタキシードになったのはよかった。手足はそのままだったが。。。

休憩のち2幕。まだネズミやる。。。

倒れた馬車からネズミたちが金を奪って逃げる。Telramund & Ortrud夫妻の失墜を表現したのか。

Elsaの部屋らしき、中央に白鳥がいるだけのブースがでてきて、白いドレスのElsaと黒いドレスOrtrudが話す。裾の大きく開いた同じデザイン。白鳥の湖をイメージか。でも美しくない。

その後にでてきた女の合唱団、頭に華つけた華やかな衣装なのはいいが、手足がネズミで、ネズミのしっぽまでつけてるのがグロすぎで、テンション下がりまくり。

今度はローエングリンが出てきても回復しなかった。Vogtの裏声歌いにも飽きてきた。この歌い方だと高音がヒットしないし。最初は美しいと思ったけど。

休憩のち3幕。結婚式の合唱に集中したくて、目をつぶる。でもネズミ衣装の合唱団には笑いがまざるし、手足がパタパタしてる音もまざるので、よくなかった。残念すぎ!

二人の寝室も白くて可動式、奥から出てきて、二人がもめた後、また奥に戻る。Elsaの心配をリンクして、ベットから黒い船が生えてきてまた消えた。二人の衣装がパジャマだったのはこのため。

また合唱団。黒いタキシードで人間に近づいているらしい。もう私はやる気ゼロ。

Ortrudが白い崩れたワンピースで、紙の王冠をつけ、狂ってうたう。ここはPetra Langの得意技、でも張り上げると音程が微妙にずれてるような。

Elsaは黒いスーツだったが、おもむろに脱ぎだし、黒い下着姿になり、ローエングリンと床に転がって抱き合う。

ローエングリンは身分を明かして帰ると。卵みたいなものが出ていたが、回転すると中にグロテスクな未熟児がいて、立ち上がってへその緒を引きちぎる。

最初から最後まで気持ち悪い。民衆はバカなのでネズミでokな傲慢な露悪趣味。Hans Neuenfels、初演時にブーがでて薄ら笑いをしていたらしい、大嫌い、もう二度とみない!

なのにすごいスタンディング・オベーションで、座っててると何も見えないし、途中で退出したら睨まれた。そのあとなぜかマイスタージンガーの合唱をやったらしい。

Vogtの頭声は、出だしはおっと思ったが、ずっと続くと飽きるな。高音は厳しいし。やっぱり胸声で押してほしいなり。

* * *

初遠征のバイロイトは、思ったより靖国神社的であった。劇場前のパネルには、ワーグナーが悪人の代表としてユダヤ人を描いていたことと、その後のナチスとの関わりが明記されている。チケットが高額で入手困難だだったこともあり、特権意識をひしひしと感じる。ミーメにすごいブーがでてたり、ドイツでも右よりな人たちが集まるのであろう。そのくせ、こんなひどい演出に大喝采。バカなの?感覚が麻痺してるの?

劇場の音響と演奏と歌は素晴らしかったので、もったいない。同じ音楽を毎年きいてるから奇抜な演出でないと飽きるという理屈はわかる。運営側はブー出ても話題になってチケットが売れれば万歳。だがしかし、よりよい演出で、さらに高みにある楽劇をめざすのが、この劇場の役割なんじゃないのか。その芸術性のなさにがっかりした。たぶんもう二度と来ない。

STAFF & CAST


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