ベルリオーズの「ベンヴェヌート・チェッリーニ」、珍しいけど面白いオペラ。職人の恋愛といういい話で、フランスオペラらしく音楽はこんでて合唱あり、高音の難しいアリアあり。それ奇抜なかぶりもの・衣装・ダンスをごちゃごちゃにかぶせて、派手なだけ口あんぐりの舞台にしてしまった。GlyndebourneのJonathan Kent演出もその気があったけど、この国ではこんなのが面白がられているのがもう末期状態。
前奏は何もなかった。幕もあがる前、舞台に男が一人でてきて、マジックの小物みたいなの出して、カゴから体の柔らかい女が飛び出してくる。客席の脇から人々がわらわら出てきて、巨大な化け物の顔か二つ出てきて舞台袖にかざられ、金の紙吹雪が舞う。これにはどんな意味が?
幕に新聞の見出しみたいなのが映し出され、ペルセウス像ができてない、また延期!とか。幕が透けると、中央にどでかい金のペルセウスの首があり、その下で男(彫金師チェッリーニ)が悩んでいる。
幕があがると、下手に階段のついた家があり、二階の窓辺に女(テレーザ)がたたずみ、上手奥からでてきたダンス集団を眺めている。女の部屋に父(財務官バルドゥッチ)が出てきたなんかいう。歌が全然きこえない。窓に大きな風船がうつり、チェッリーニがテレーザと逢い引き。
下手奥からもう一人男がでてきて、立ち聞きをする。これが恋敵の彫金師フィエラモスカ、謝肉祭の夜に駆け落ちしよう、自分は白、弟子ポンペーオは茶の僧服を着てくると。父に見つかって追い出される。
場面かわって、奇抜なダンサーやサーカスが踊って大騒ぎ。あんぐり。二組の僧服がやってきて、チェッリーニが剣を抜き、ポンペーオを刺し殺して逃げ、フィエラモスカが捕まる。
休憩のち2幕。チェッリーニの仕事場で、メゾの弟子アスカーニオが悩んでいる。チェッリーニも逃げ帰ってきた。上手横に金色の階段が出てきて、ローマ法王クレメンス7世が現れる。セットと一体になって動けないのかと思いきや、階段上の扉をぱかっと開けてすたすた降りてきた。。。ペルセウス像が今夜中にできたら赦免だと。
悩むチェッリーニの元に、職人たちが戻ってきて、金属を釜に次々と放り込むと、解けた金属が入れ物に流し込まれる。このへん、やたらでかいセットが無駄に動く。
ペルセウス像は白い幕の中で完成したらしく、人々が中を覗いて驚いている。幕が取り払われると下半身だけ。。。
他にも奇抜な演出が満載だったのだが、記憶にない。サーカスを見に来たのではないのだ。主演 Michael Spyres(3回目)は難しいテノールをよく歌ってたが、他の歌手も演奏はひどかった。こんなのオペラじゃない!