2013.11.30: Wagner "Parsifal"

はぁ。イギリス人はワーグナーのロマンを論理でぶっとばしてくれる。

舞台中央には巨大な半透明の立方体があり、その奥に白い道が続いている。周囲には白い柱が無造作に並んで取り囲んでいる。森の中の城、イメージは悪くない。

が、その立方体が病院になっていて、ベットに患者である王が横たわり、医者や看護婦が治療をしているのがいかんのだ。リアルでグロい。医者たちに連れ出されて立方体奥のくぼみで「沐浴」してた。

グルネマンツは病院関係者ではなく普通のスーツをきている。クンドリは別の精神病患者か、白いネグリジェにスキンヘッド。。。下着つけてなくて胸がみえそうなのは全裸サロメもOKのAngela Denokeだから?

グルネマンツが城の歴史を語り出すと、立方体のベットでは男が女に組み敷かれ、刺されて血みどろ、、というシーンがえがかれる。いちいちグロイ。魔法使いクリングゾールが奪った聖槍で刺したのか?

普段着姿の男が白鳥を射落としたと引っ立てられてきて、自分の名前もわからないので、クンドリが「パルジファル」と呼ぶ。白鳥は下手奥の一角にしこんである土を掘って埋められた。

スーツ姿の男たちがわらわら出てきて、聖餐の儀式が始まる。女性コーラスは出てこなくて舞台裏から声のみ。車椅子にのった男は先王か。王は歩行器でよろよろ出てきて、腹から血を流している。

立方体から全裸に腰布だけまいた金髪美少年が出てきて、両手を広げ、ぱたっと倒れて、ピエタみたいに抱えられて退場した。キリストか!

ここが全然ロマンチックじゃないので長かった。。。

パルジファルは下手の椅子にふんぞり返って見てて、グルネマンツの期待にはそぐわなかったようだが、何かしら感じたもよう。

休憩のち2幕、色とりどりのラメのミニワンピをきた女たちが出てきてパルジファルを誘惑。立方体の縁はピンクに光り、周囲にはピンクの花が並べられる。まんま「花園」だ。舞台の隅に小さい立方体の箱があり、草が生えている。城の象徴か。

次に赤ロン毛のクンドリが出てきて、立方体の中のベットでパルジファルを誘う。パルジファルは母を思い出して苦しみに目覚め、キスされて愛の心に目覚め、同時に王の苦痛も感じる。クンドリに王の所へ幾道を示せと言うが、クンドリは自分を抱けば教えるというので、パルジファルは消えろと叫ぶ。

そこで現れた魔法使いクリングゾールは黒人歌手!パルジファルに槍を放つが、パルジファルは掴んで止めた。

休憩のち3幕。最初の場面と同じ。白鳥を埋めたところに葉が生えている。スーツのグルネマンツが倒れているクンドリを起こす。そこへ甲冑姿のパルジファルがやってきて、槍を舞台脇にぶっさいして、グルネマンツが洗礼して、クンドリが足にキスしてる、のかと思ったら、香油を塗りつけてた。

布でまかれた先王の遺体が運ばれてくる。王ももう辛いから死ぬとか言ってる。そこへ三人がやってきて、パルジファルが槍を当てるとあらふしぎ〜。白鳩が舞い降りはしなかったが、みなはひざまづく。

クンドリは恍惚の中で静かに息絶え、ではなく、王が肩を抱いて下手袖に連れてった。

指揮はパパーノ先生、丁寧なのはいいんだが、ちょっと遅すぎて眠りに落ちそうになった。今日はずっと座って指揮してて、開演前も一回目の休憩後も、最初からオケピに座ってるから拍手するタイミングない。二回目の休憩後は立って挨拶してた。足でも悪いのかと思ったら、カーテンコールはふつーに舞台にあがってきた。

演出家やスタッフ数名も舞台にあがってきた。演出家はゲイだね、それもロリゲイ。これに比べたらミュンヘンのKonwitschny演出のがはるかにロマンチック。

歌手はみんなよかった。Angela Denokeでは高音がつらいところもあったけど。Simon O'Neillはロンドン御用達のヘルデン・テノールで、WaltherもSiegmundもよかった。ニュージーランド人!Rene Papeはミュンヘンでも見た、いつも渋い。黒人はSir Willard W. White、ジャマイカ生まれ、結構有名な人なのね。王様までよかった、カナダ人Gerald Finley。

歌手はみんなよかったのに演出が嫌いで全く感動しないのは先月の「エレクトラ」と同じ。席が安すぎるせいかなあ。。。

今回初めて、休憩中の一人ディナーをやってみた。気づいてなかったけど、同じように一人で食べてるおじさんたちが結構いて、全然さみしくなかった。これからちょくちょくやろうっと。オペラよりディナーのが楽しかった。

STAFF & CAST


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