でも脚本が若かったかな。内容はいいんだが、エピソードの数が少なくてテンポ遅くて、引き出しが狭くて前のめり、教育的に聞こえてしまった。
まあ、井上ひさし原案で、遺したメモを元に書いたらしいから仕方ないんだが。
沖縄の基地がふえてるとか、本土を守るために沖縄を差し出したとか、沖縄人はそれでも信じるしかないとか、若い人が叫んでくれるのはよいことだ。危機的状況で人間が変わること、米軍の捨てた食物で生きながらえるという滑稽、の方が印象深いが。
藤原竜也がこういう芝居に出てくれるのがうれしい。彼が演じた沖縄の青年の「信じる」という言葉は、説明はなかったのに、説得力があった。
沖縄人が信じるのは本土の人たちの誠意なのか。島を守るため銃を手にとり人を殺した記憶は消せなくても、目の前に広がる基地はなくすことができる。基地をなくすことは、本土の人たちができる「せめてもの小さな」償いなのである。