CHIAKI's Diary

2012.8.25: Ravel "L'heure espagnole" スペインの時 & "L'enfant et les sortileges" 子供と魔法 @Glyndebourne

グラインボーン参戦。イギリス南部の村で毎夏行われる、ロンドンからの客が多い、「リッチ」なオペラ祭。チケット代も150ポンドとか高い。

休憩も長めで一時間半くらいあり、３つあるレストランでディナーしたり、広い庭でピクニックしたりする。ピクニックっつっても、予約すれば食べ物からテーブルのセッティングまでやってくれて、みなシャンペンやらワインをグラスで飲んでいる。なぜわざわざ僻地のオペラ祭きてそんなことがしたいのかは謎。

主催者は金持ちファミリーが代々やってるらしい。各演目のチケットに別のお金持ちの名前がスポンサーとして書かれている。ロイヤル･オペラで日本人はたくさんみかけるし、最近は中国人も進出してきているが、ここはまだ日本人は少ない。

出演者はそんな有名ではないが、演出がいいとはきいたことがある。週末にまだ見たことない珍しいプログラムを二つ選択。今日はRavel Doubleと題された、１幕オペラを二つ同じ演出で。

　*　*　*

１本目は「スペインの時」。舞台は時計屋、壁状のセットのみだが、下手側にはさまざまな時計が所狭しと並んでいるのに目を奪われる。

上手に入り口があり、その前の机に主トルケマダが座っている。若い郵便屋ラミーロがやってきて、父の形見の時計を直してくれと。ロバ曳きって感じの鈍くさいひょろなが男。

中央下手よりに奥の寝室につながるドアがある。そこをバンと開いて、ピンクのミニワンピを着たけばい女房コンセプティオンが出てくる。市役所の大時計を合わせに行く時間だと夫を追い出した。

コンセプティオンはやってきた若い学生詩人ゴンサルヴェと逢い引きしようとして、ラミーロに重い時計を奥の部屋に運んでくれと頼んで追い出す。重いはずなのにラミーロは片手で肩の上に担いで軽々と運んでいく。

でも詩人くんはパンタロンにちりちり頭で、自分の詩を朗読して悦に入っている。

ラミーロが戻ってきてしまったので、コンセプティオンは寝室に運んでもらう時計を間違えたといい、取りに戻らせる。

コンセプティオンは詩人くんをもう一つの細長い箱時計に押し込む。

次に銀行家のドン・イニーゴ・ゴメスが来て、亭主に市役所の時計係を任せたのは二人きりになるためだと、コンセプティオンに言い寄る。

ラミーロが戻ってきて、詩人くんの入った時計を運んで、コンセプティオンもついて寝室にいく。

一人になった銀行家は、しばらくうろうろしていたが、自分からもう一つの時計に入り込む。ラミーロが戻ってきて、独り言でコンセプティオンを褒め称える。

着衣を乱したコンセプティオンが戻ってきて、また時計を間違えたといい、ラミーロが詩人くんの時計を取りに行く。

銀行家ははまって出られなくなったので、カッコウの鳴きまねで気づいてもらい、コンセプティオンをくどく。

またまたラミーロが戻ってきて、銀行家の入った時計を運ぶ。コンセプティオンは時計から詩人くんを出して帰っていいと言い、自分も寝室に行く。

しかしラミーロが戻ってきたので、詩人くんもまた自ら時計に入る。

また着衣を乱したコンセプティオンが戻ってきて、詩人くんも銀行家も役に立たないと嘆く。

ラミーロが銀行家の入った時計を運んで戻ると、今度はコンセプティオンはラミーロの手をひいて寝室へ。

主人が帰宅して、二つの時計の詩人くんも銀行家に気づき、それぞれの時計を売りつける。

コンセプティオンとラミーロが戻ってきて、ラミーロがはまった銀行家を時計から軽々と出す。みなで並んで、なんかいって、終了！

こてこての演技で、楽しかった～。洗濯機だと思っていたら人が座ると時計だったり、いろいろ目が離せず字幕よんでる暇がない。最後はボッカチオの教訓「役に立つ恋人をひとりだけ選べ」らしい。

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休憩のち「子供と魔法」。舞台にでっかい机と椅子があり、子供が座っている。母が出てきて勉強しろと言うが、嫌がって本をちぎり、食器を壊す。

少年はメゾだが、上半身が四角い水色のシャツと短パンで、少年に見える衣装を着ている。

巨大なソファーが二つでてきて、その柄と同じ島柄を着た歌手がなんか歌いながら回って、少年が逃げる。

テーブルの上でティーポットとチャイナ･カップがなんか歌い、中国語字幕が出る。

暖炉から火が蛇みたいににょろっと出てきてソプラノが歌う。

破れた壁紙から人がわらわら出てきて、羊飼いの少年と少女が運命を嘆く。

ちぎれた童話の本のお姫さまは魔術師に連れ去られる。少年は破り捨てた本の続きを探すが見つからない。

黒猫が現れて少年を庭に連れ出す。

庭には木々や鳥たちが並び、月がきれー。少年にピンを刺さされたトンボの恋人が行方を尋ね、雨蛙もいたずらを責める。

少年は寂しくなり母を呼ぶ。動物たちは争って少年を罰しようとし、リスが転ぶ。少年は優しい心に目覚め、リスを助ける。動物たちはみなで少年の母を呼び、少年は目を覚ます。

ちょっと意味不明だが、これも面白かった。演出はLaurent Pelly、「マノン」「連隊の娘」といつも演劇的で舞台の形も面白い。注目だ。舞台装置はめっちゃお金かかってそう。指揮は日本人だった。