カルメン役は、地元で人気の若手、エレーナ・ガランシャがキャンセルになって、代役のアメリカ人?はいまいち、ケバいばかりで嫌な女になってた。
それより、指揮者が最悪。テンポが定まらず、「ハバネラ」も「闘牛士」も異様に遅く、二幕冒頭のスペイン舞踊は走りすぎ。
舞台はなかなか良い、特に二幕の赤っぽいジプシーのアジトはそれらしさにうるっと来たが、月に深緑の森の三幕は照明が暗すぎ。四幕は壁と坂道を使った遠近法で二人の運命をよく表してた。
ネトレプコのミカエラはちょっと重いかと思ったけど、三幕ではお見事な説得力で、ホセ君を見事に連れ帰りましたとさ。
えろえろエスカミーリョに乗り換えたカルメンの前に、無職でよれよれホセが現れ、よりを戻そうとかいうが、何いってんの?って感じで、カルメンって正しいよなあ、と思った(爆)でも「私を帰させてくれるか殺すかどっちかにしろ」とか言っちゃうから、逆ギレされて殺されてしまう。
この時のホセくんが、ダメ男なりに、ものすごく切実で、オペラの出来は全体的にいまいちだったのに、だーっと泣いてしまった。拍手喝采。このホセがあのミカエラに勝った、物語で勝った。